日比谷にも住みたい

日常雑記絵日記ブログ「荒川区に住んでます」の宝塚観劇記録用の日比谷別宅です

闇が広がりんぐ

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ミュージカル『エリザベート』より、やって楽しい『闇が広がる』ごっこ

花組エリザベート(2014)をようやく観たので感動を記そう。

そもそもエリザベート』は、今までの上演作をまだほんの数作しか観れてないのですが、宝塚というかミュージカル全般のなかでも好みの演目のひとつで(音楽が好き!)、スマホの目覚ましを『♪我ら息絶えし者ども』にしてルキーニの「起きて語っておくれ、あの人のことを!! エリーーーーザベーーーッ!!!!」のタイミングでムクリと毎朝起きるようにしていたくらいにはハマっています。(夫が目覚めが悪いと言うので、この目覚ましはやめた)。

しかし!! 
トートとエリザベート(シシィ)の関係が、私には理解がむずかしい。ウィーン版だとトートはエリザベートが「死」を初めて意識したとき生まれた死の擬人化、エリザベートの内側にいる存在、というかんじにしっくり解釈して観れたのですが、宝塚版の構成だと、トートはエリザベート以前からすでに勝手に存在してるように私には見えてしまうので「なんで黄泉の帝王がわざわざ人間の女の子を愛してしまったのか」という、根本的な部分が気になって物語になかなかドップリは入っていけなくて、それがトートに貫禄があればあるほど、悟りきってそうなトートであればあるほど、この「なんでわざわざ感」が私を邪魔してくるのです……。
ミュージカル『エリザベート』はエリザベート自身の残した、いつも黒いカモメに追われていたという詩から着想を得たのかも? ということで、宝塚版も「エリザベートの傍にはいつも死の影があったからね!! 二人はニコイチ!!」と、物語以前の設定で受け入れることもできるのですが、なんかねえ。

そんなかんじで『エリザベート』は好きだけど、ラストで涙するほど入り込めるようなことはありませんでしたが、このたび花組エリザベートでがっつり泣けました。
兎にも角にも、トップスターの明日海りおさんの演じたトートが良かった! 

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たぶん感情をわりと出すトートだったんじゃないかという印象でした。それが、黄泉の帝王だけど魂的には実は生まれたてのような、美しいけど熱っぽくて貪欲なトート像というか、それこそ少女の「死」への幻想の泡沫から生まれた若い神であるようにも見えて、そのトート自身の若さが私のなかで引っかかりまくっていた「人間を愛してしまった黄泉の帝王」の図式にも、素直にぴったりハマってくれました。
こういう受け取り方をして観ていると、トートは黄泉の帝王というよりギリシャ神話に出てくる神様とかそういうものっぽいから、惚れた女にしつこいのにも納得というか……。トートに「職業・黄泉の帝王」なドッシリ感がなく、幻のような危うげな存在感だからこそ、シシィ自身の張り詰めた糸のような狂気や彼女の送った孤独な人生への理解も深まった気がして、「死」とのラブロマンス、として物語を純粋に楽しむことができました。

ということで、みりおちゃんトートの『エリザベート』、すごくよかったです。

なにより歌がうまくて美しいというのがいいね!!
美しさは説得力!!